浅草演芸ホール

浅草演芸ホール

浅草に来てます。
朝10時に雷門で親父と弟と待ち合わせ。10分ほど遅刻した。

自分のオカンは去年の2月、2年のガン闘病生活を送り、死んでしまった。
親父はそのガンの告知を受けるまで、退職して気が抜けたのか、若干ボケっぽくなっていたのだが、その2年間はシッカリと生活の全てを愛する妻の看病に費やした。

自分と弟は既に家を出ているので、葬式が終わると親父は1人ぼっちの生活が始まる。
こんな親父を気遣い、自分より気が利く弟の発案で、去年のGWはオカンの里がある北海道に皆で旅行した。
そして今年のGWは弟「よね博士」の職場がある、つくばに親父を連れ出した。
自分は後からの合流になったため、つくばEXPの駅がある浅草で待ち合わせとなったのだ。

雷門の前に着き、難なく2人と落ち合えたが、この2人は既に浅草寺仲見世の見物を終えている。何という家族だ。
「もう一回行ってもええで」
と言われるが、もういい。そしてこの後の予定は無い。。
早速喫茶店で時間を潰している間に、浅草から水上バスが出ていることを思い出す。
男3人でデッキに腰をかけ、隅田川を下る。

物心付いた時から親父のことは好きでなかった。というか、苦手だった。
こうして親父との時間を過ごしているということ自体、考えられなかった。
オカンが末期のガンであったことは、受け入れがたい残酷なものだったけど、そのことで、それまで見えていなかった家族の堅い絆のようなものが見えるようになった。そして「家族」がとても好きになった。「普通の生活」がどれだけ貴重なのかいうことも痛いほど思い知らされた。
もういよいよ危ないと医者から言われた時に、家族が交代で寝ずに付き添いをした時のことなど、今となればいい思い出のようにも思えたりする。
家族の「死」をもって教わるということは、とても残念なことだけど。

日の出桟橋で船を降りる。まだ昼の12時。
親父が「落語でも見ようや」と言う。
今度は地下鉄で、また浅草へ引き返す3人。

浅草演芸ホール

演目を見ると、自分が知ってるのは、林家木久蔵林家正蔵(「こぶ平」の方がわかりやすい)。この二人くらい。
「つまんねぇだろうなぁ」と思いつつ、中に入る。
いやいや案外笑えます。木久藏なんてここじゃスーパースターだ。

老若男女ギュウギュウの立ち見の中、ふと見ると親父だけ随分前の方に一人で移動して笑っている。こんな人だ。
でも親父の笑顔を見ると、なぜかホッとした気持ちになる。いつまでもこの笑顔を見ていたい。

演芸場を出ると夕方。もう酒を飲むしかない。以上で行き当たりバッタリな旅が終わる。
今日はチョット飲みすぎてしまった。。